何かを選ぶ前に、レビューを見るのが当たり前になった。
「自分の好みに合う作品か?」
「時間とお金を無駄にしないだろうか?」
他人の感想を飲み込んでから動く。それが、効率のいい「答え」の選び方。
私も損はしたくないし、一番合っているものを選びたい。
でも、他人のものさしによって、新しい価値観を見過ごすのはもったいない。
そんな体験をした瞬間を、今日はお話します。
レビューを見ない方がいいと思った日【思考ログ】

今の職場へ転職してから、かれこれ1年になる。
車で、片道40分ほど。
「この通勤時間…もったいないよな」
前々から車通勤というのは、不便だなと思っていた。
両手は塞がるし、運転以外のことは基本的にはできない。
唯一、暇を持て余しているのが「耳」。
そこで、ある日からAudibleを始めた。
いわゆる聞く読書。
本は多少なりと読んできた。
ビジネス書だったり、小説だったり。
聞く読書にはすぐにハマり、週1冊のペースで消化していく。
特に小説に関しては、耳から入る物語への没入感がたまらなかった。
憂うつな車内が、有意義な空間に変わった。
より作品を楽しみたいという欲が、自然と湧いてくる。
こうなってくると、今度は選別が始まる。
ジャンルはもちろん、タイトル、表紙、紹介文。
そして、レビュー…。
星★評価が高い作品を、自然と選んでしまう。
それが良い悪いというわけではなく、世の中の流れとして仕方のないこと。
「自分に合ったものを見つけたい」
そう考えてしまうのは、自然な感覚だと思っていた。
いつものように、朝の通勤時にAudibleを車内で流していたところ、朗読が終了した。
読後の余韻と、次に流す作品を早く選びたい欲が変に入り混じって、少々イライラしてしまったのが正直なところ。
運転中なので、スマホを触るわけにはいかない。
でも、唐突に別の作品の朗読が始まってしまった。
「あれ?自動再生機能なんてあったっけ?」
「つまらない作品だったら、苦痛だな」
そんなことを思いつつも、運転しながら朗読者の声は自然と耳に入ってくる。
「学園もの?女子同士の友情話かな?」
そんな先々の展開を予想しながら聞いていると、
「えっ!?そんなことある!?」
思わず車内で漏らした独り言。
今になって思うと恥かしく思う。
そこからの物語の急展開に、どっぷりハマってしまい、
「会社へ行かず、遠くまでドライブしてしまうか」
そんな、暴走気味の考えが浮かんだ。
物語が進むにつれて、
「あれ?こんな作風好きだったか?」
そんな自分がいたことに気付いて、少し驚いた。
早く仕事が終わってほしいと、ヤキモキしながら過ごした、あっという間の1週間。
読了後には、「これは名作入り!」と位置付けられた作品だった。
あくまで私の中では。
そこで初めて、レビューが気になる。
「きっと、同じ満足感を味わっている人が何人もいる」
スマホ画面を下へスライドして確認してみる。
星★評価:3.4
うっそ…。
もし先に星の数を見ていたら、この作品には出会わなかったかもしれない。
自分の感覚がおかしいのかと戸惑いつつも、なんだか嬉しくもあった瞬間だった。
評判が良いものを選べば、だいたい間違いはない。
私も損はしたくない。
でもそれは、自分の意思ではなく、誰かに選ばされていた。
そんな気がした。
「こんな作品も自分は楽しめるんだ」
他人の評価が低くても、「私はこれが好き」と言える作品を見つける。
こっちの方が、ずっと面白い。
もしかしたら、他人の感想はいらないのかもしれない。
少なくとも最初からは。
今日もまた、評価を見ずに再生ボタンを押してみようと思う。



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